[ANSYS Fluent] 多成分ガス流解析用境界条件入力ファイルを作成する Excel プログラム

ANSYS Fluent による CVD/ALD などの半導体プロセスを想定した非定常ガス流解析向けに、プロセスレシピに基づいて質量流量と各ガス化学種の質量分率の時間変化を記述した境界条件入力ファイルを出力する Excel プログラムを作成しました。

ANSYS Fluent による多成分混合ガス流の非定常解析
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Excel プログラムの説明
テスト計算結果
参考

ANSYS Fluent による多成分混合ガス流の非定常解析

ANSYS Fluent による多成分混合ガス流の解析では、Inlet 境界条件として質量流量 (kg/s 単位) と各化学種成分の質量分率（またはモル分率）を指定します。また時間変化する境界条件を指定する場合はプロファイルを記述したテキストファイル（拡張子 .ttab）を別途用意して読み込ませる必要があります。
※ Fluent はこの “プロファイルファイル” の書式や拡張子名に敏感で、これらが正しく記述されていない場合はファイル読み込み時にフリーズする場合があります。

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Excel プログラムの説明

半導体プロセスレシピの各ガス種の流量を sccm 単位から kg/s に変換し質量分率とともにファイル出力します。以下、各シートについて説明します。
※あまり汎用性のあるものになっていませんので適宜修正してお使いください。

シート “MFR”

D8-G8 セル：ドロップダウンリストから化学種を選択します（最大4化学種まで設定できます）
D9-G9 セル：化学種の分子量が表示されます
B12-G20 セル：各化学種の流量の時間変化を sccm 単位で入力します（必要に応じて非表示となっている行を追加してください）
B33-G40 セル：sccm 単位から kg/s 単位に変換された流量が表示されます（必要に応じて非表示となっている行を追加してください）
C55 セル：Fluent 入力用のプロファイルファイル名（拡張子 .ttab を除く）を入力します
C56 セル：プロファイルを識別する profile-name を入力します
C57 セル：出力する変数の数を入力します（化学種は全化学種の数から１を引く、下の例では Ar については出力しない）
D57 セル：非定常プロファイルの時刻の数を入力します
E57 セル：時間周期プロファイルかどうかのフラグ（0：非周期的、1：周期的）を入力します
B58-G66 セル：各時刻毎の質量流量と質量分率が表示されます
以上の項目を入力後、「Make Profile File (*.ttab)」ボタンを押すと非定常プロファイルファイルが出力されます

シート “Gas List”

シート “MFR” の D8-G8 セルのドロップダウンリストで選択する化学種の名前と分子量を登録します。必要に応じて追加・変更してください。

非定常プロファイルファイルの例

以下のような Fluent 入力用のプロファイルファイル（拡張子 .ttab）が出力されます。

テスト計算結果

架空の ALD 装置モデルに対して、上のExcel プログラムで出力した非定常プロファイルファイルを Inlet 境界条件に適用して装置内のガス流の計算を行いました。指定したプロファイル通りに各化学種の質量分率が時間変化することを確認しました。