熱設計の教科書「国峯・中村:熱設計と数値シミュレーション」 (私が持っているのは第1版で、本投稿の時点では第2版が販売されています)の 「12.3 ペルチェモジュールによる冷却(TEC)」を参考に、TEC デバイスの 1D モデルを OpenModelica で作成しました。
TEC デバイスのコンポーネント
上の教科書の「図12.11 ペルチェモジュールの熱回路網モデル」を参考に以下のように TEC デバイス のコンポーネントを作成しました。ペルチェ素子部分は二分割した直列の熱コンダクタンスで表現し、放熱側・吸熱側をセラミック基板の熱コンダクタンスで挟みます。二つのペルチェ素子部の接合部にジュール熱、両側のペルチェ素子部とセラミック基板の接合部には放熱量と吸熱量の熱流量を与えます。電流 \( I \) 、 TEC デバイスのパラメータ(ゼーベック係数 \( S_{\rm M} \)、電気抵抗 \( R_{\rm M} \)、熱コンダクタンス \( K_{\rm M} \))、および、セラミック基板の熱コンダクタンス \( K_{\rm ceramics} \) を パラメータ変数にしています。
※ TEC デバイスのパラメータをベンダーのデータシートの仕様(最大電流、最大電圧、最大温度差、最大吸熱量)から見積もる方法については こちらの記事 を参照してください。

「TEC デバイス」パッケージのダウンロード
TEC デバイスのコンポーネントとそれを使ったサンプルモデルが入っているパッケージです。
「TEC デバイス」パッケージの説明
パッケージを開くと以下のようになっています。

- TEC_Iin: TEC デバイスのコンポーネント。電流 \( I \) 、 TEC デバイスのパラメータ(ゼーベック係数 \( S_{\rm M} \)、電気抵抗 \( R_{\rm M} \)、熱コンダクタンス \( K_{\rm M} \))、および、セラミック基板の熱コンダクタンス \( K_{\rm ceramics} \) を パラメータ変数にしています。
- TEC_Vin: TEC デバイスのコンポーネント。Modelica.Blocks.Interfaces.RealInput として電圧 \( V \) を入力し、コンポーネント中で電流 \( I \) を計算します。
- TEC_Iin_test: TEC_Iin を使用したサンプルモデル。
- TEC_Vin_test: TEC_Vin を使用したサンプルモデル。
- TEC_Iin_Sample_Kunimine: 上記の教科書の例題(購入者は出版社ウェブサイトより「熱回路網法 Excel シート」をダウンロード可能)と同等のサンプルモデル。
サンプルモデルの計算:Excel vs. OpenModelica
サンプルモデル 「TEC_Iin_Sample_Kunimine」のダイアグラムは以下のようになります。図中の番号は同等の計算を「熱回路網法 Excel シート」で解いた際の接点の番号です。

各接点の温度の計算結果は Excel と OpenModelica でほぼ一致することがわかります。

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